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房総・笠森寺の四方懸造り「観音堂」
Kannondo of Kasamori-ji Temple in Bousou
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天台宗・別格大本山にある房総の笠森寺は、山号を大悲山といい、本尊が十一面観音像であるので別名は「笠森観音」。783年に最澄(伝教大師)が開基したと伝えられる古刹で、観音堂は1028年に天皇の勅願で建立されました。
とくに観音堂を有名にしたのは、その建築様式。巨大な岩の峰上に建てられた日本唯一の「四方懸造」です。桁行が五間、梁間画四間の寄棟造で、銅板葺きと、四面を舞台造りにした日本でも珍しい四方懸造。国の重要文化財(旧国宝)に指定され、本邦で唯一の楼閣のような大悲閣です。
さて、遠くから見ると、観音堂は尖った岩山の上に建っているように見えます。61本の柱で支えられた高さ30mの四方懸造。まるで建物が空中に浮いているような舞台造りの組木は、見る人々を魅了します。
75段の急な木段を上がった回廊からは、房総の山々が眺められます。そして回廊を一周すると、山頂に建てられていることが実感できます。二世安藤広重の浮世絵「諸国名所百景」にも出てくる名所・・・。京都の清水寺も懸造ですが、笠森寺は四方とも全てが懸造りなので、本邦唯一の楼閣と云えるでしょう。(潮 信輔)
- 登録日
- 2012年05月12日
- 更新日
- 2016年09月23日 11時 06分