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北海道の松前城
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松前城は蝦夷地を支配していた松前氏の居城です。北海道にある唯一の平山城で、江戸時代の最後の日本式城郭となり、江戸末期に歴史に登場する城・・・。松前はニシンや昆布、鮭などの海産物の専売に加えて、アイヌとの交易で栄えました。やがて北方にロシア船が出没するようになり、北方警備のため、一時は幕府の直轄地になった松前。しかし幕末には、再び松前氏に戻り・・・、6年がかりで松前城が完成したとのこと。さらに戊辰戦争の最末期に、旧幕府軍(元新撰組の土方歳三が隊長)と激しい攻防戦を繰り広げ、落城した歴史を持つています。石垣には当時の弾痕が残っています。
同時代の本土の城に比べて、規模はそう大きくありませんが、蝦夷文化の匂いを纏った特色ある城郭と城下町です。海側からの艦砲射撃に備えて砲台を備えています。二の丸太鼓櫓跡に立てば、海上はもとより海岸線から城下町を見渡せ、海防に徹している感じがつのりました。一方、石垣にも特色があります。緑色の凝灰岩が使用され、継ぎ目がほとんどありません。隙間なく積んだ石垣は、亀の甲羅の模様に似ているため、亀甲積みと呼ばれるとのこと。また外郭から三の丸にいたる天神坂門、枡形空間を有する搦手二ノ門は、簡素で素朴です。
文化の高さも漂わせています。銅版で葺かれた屋根をもつ三層の天守・・・。国の重要文化財に指定されている築城時から現存する重厚な「本丸御門」、そして北海道有形文化財の本丸表御殿玄関。曇り空と鈍色の海を背景に、松前城は無口で控えめでしたが、素朴さに中に濃縮した文化も詰め込んでいました。(潮 信輔)
- 登録日
- 2010年10月03日
- 更新日
- 2016年09月23日 15時 22分