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日本各地の「農業用分水」
Diversion water for agriculture in various parts of Japan
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日本においては、弥生時代から近代まで、多くは農耕とくに稲作が生活を支えて来ました。稲作には水田、すなわち水が必要。そのため水をめぐつて、争いもあったことでしょう。しかし多くは人々の話し合い、聖徳太子が大切にした“和”の精神で、年月を経ながら次第に解決して来ました。各地にある「分水」は、それらの具体的な形として、現在も受け継がれています。そこで、代表的な4か所の農業用分水を紹介いたします。
・熊本・山鹿にある「御宇田井手の円形分水(扇形分水)」は、川の水を締め切った堰から川岸へ用水を導き、一旦地下に潜って円の中央から湧き上がる水を、扇形に分水するものです。
・山梨・北杜の「三分一湧水」は、江戸時代から湧き出す水を、三方の村々に三分の一づつ平等に分配できるように工夫した農業用の分水。
・栃木・今市にある「用水円筒分水井」は、円筒状の中心部からの湧水を、円筒の外側へ一定の割合で分配する水利施設。日光の杉並木公園の中にあって、近くには多くの水車たちが回っています。
・熊本・野尻の「円形分水」は、江戸時代に築かれた農業用分水で、農地面積の比率によって水を7:3の割合で2方向に分水する装置。
これら各地にある4つの農業用分水を訪ねると、懐かしい気持ちがフツフツと・・・、湧いてきます。そして今では日本の原風景となって、日本文化の一翼を担っています。“和”の精神が生きています。今後も大切にして行きたいものです。(潮 信輔)
- 登録日
- 2023年07月10日
- 更新日
- 2023年07月11日 14時 51分