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紅葉期の湖東・西明寺「参道、千年杉、二天門」
西明寺は琵琶湖の東、鈴鹿山脈の西山腹に位置する古寺です。山号は龍応山。平安時代の834年に、仁明天皇の勅願により開創された寺院で、金剛輪寺、百済寺とともに「湖東三山」(天台宗)の1つに数えられています。昔は、山内に17の諸堂、300の僧坊があったとのこと。今もその面影がつよく残っていて、「日本100の古寺」「近江水の宝」に選ばれている古刹です。
また西明寺は紅葉の名所として有名です。山門をくぐると、長い参道が続きます。その多くは坂道になっていて、石段や石畳の参道が・・・。そして道の両脇からは、赤く紅葉したモミジが、迎えてくれました。まだ黄色や緑色をまとって、見事な彩りを誇りつつ石段を登って行く足を、留めさせます。また晩秋の冷気は、汗ばむ肌に心地よくて、紅葉をゆっくり楽しむ気分を支えてくれました。
数百メートル歩くと、急な石段の先に、紅葉に囲まれた二天門が見えてきます。そしてその右手前に、二本に分かれた大きな杉の木が、真直ぐ、すっきりと伸びています。これが西明寺の霊木である「夫婦杉」、別名は「千年杉」。もともと2つあった杉の木が、根元で寄り添うように育ち一本になったとのこと。
夫婦杉に手をあて、心で祈って・・・、石段を一歩一歩進んで行くと、すぐ柿葺の八脚門を持った二天門へ。室町時代の初期に建立されたもので、重要文化財に指定されています。両脇には増長天と持国天がひかえていて、寺を、森を、参拝者を、護っています。装飾のない質実さ、素朴さに心惹かれました。また大きな草鞋が掛けてあり、つつがない旅を願いました。この二天門をくぐると、本堂、鐘楼、三重塔が、紅葉に照らされて、眼に入って来ました。(潮 信輔)
- 登録日
- 2012年07月12日
- 更新日
- 2020年12月22日 12時 01分