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積雪期の北陸・那谷寺の「奇岩遊仙境と芭蕉句碑」
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那谷寺は石川県小松市にある自然の摂理(自然智)の教えと白山信仰の寺です。717年に泰澄によって開創された古刹で、とくに986年に花山法皇が行幸の際、岩窟で輝く仏像に深く感銘を受けられ、その後、ご自身が居住されながら七堂伽藍を造営されたことで有名。山号は自生山、寺名は岩屋寺と称された勅願寺へ。
「奇岩遊仙境」は、那谷寺を代表する石山です。太古の噴火の跡と伝えられ、長い年月の間、波に洗われて形成された今日の奇岩群・・・。まるで山水画を見るような幽玄的で美しい景色です。洞窟が多く掘られ、仏像が見守るおごそかな雰囲気に満ちています。
秋の紅葉が有名ですが、雪の候はどのような風情があるのかを、観たくて冬に来ました。積雪で白く覆われた岩肌は、地肌の灰色と模様を造り、洞窟は黒味を帯び、まるで山水画のようでした。その中を、雪は強く斜めに降ったり、弱くなって真っすぐ落ちてきたり・・・。また傍の池は、半分ほど氷結し、黄色の落ち葉を取り込んでいました。寺院と自然の荘厳さを、いっそう高める冬の風情・・・。初秋の緑とは、まったく異なった白い景色、感銘を受けました。
また少し離れた岩場には、奥の細道で名高い松尾芭蕉の句碑があります。奇岩霊石がそそり立つ遊仙境の岩肌に臨んで芭蕉が詠んだ句、「石山の 石より白し 秋の風」の石碑が静かに建っています。この石碑にも、雪は降りしきり、冬の風は白い情緒を連れて来ていました。(潮 信輔)
- 登録日
- 2011年04月22日
- 更新日
- 2016年10月24日 14時 44分