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秋・紅葉期の豊後「富貴寺」
Fukiji Temple in autum
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国東半島は両子山の付近から八方に流れる尾根が、山や谷をつくり、急峻な地形を産み出します。そのため古くから、日本古来の山岳信仰の霊地、修行の場へ・・・。そして奈良時代末〜平安時代に入ると、次第に寺院の形態を取り始め、仏教文化とくに天台系の密教が栄えてきました。富貴寺(ふきじ)はその一つで、大分県の豊後高田市にある天台宗の寺院で、山号は蓮華山です。
国東半島も戦乱と栄枯盛衰が繰り返されました。しかし12世紀の建築と考えられている富貴寺の大堂は、難をまぬがれて、平安期の阿弥陀堂の姿を今に伝えています。 そのため大堂(阿弥陀堂)は、京都の平等院の鳳凰堂、岩手の中尊寺の金色堂と並び、日本の三大阿弥陀堂に数えられています。九州最古の木造建築でもあり、国宝に指定されています。そして四季の変化は、歴史の重みを受け継いで、富貴寺をより濃く彩ります。
秋、小高い丘にある阿弥陀堂や周りの多くの石仏は、黄葉や紅葉に包まれます。屋根は四角い宝形造りの瓦葺きの屋根のみならず周りにも、カエデやイチョウの落葉が積ります。一抹の寂しさを漂わせながら・・・。しかし所々、緑葉を引き連れて、艶のある赤い実を身に着けたナンテンが、富貴寺の存在感を示していました。
仁王門と参道の石段の横に建ち並ぶ石造物は、歴史を語ります。また寺の黄土色の土塀は所々が崩れて、中に埋め込まれた瓦の姿を覗かせます。そして門の近くでは、カラスウリの黄色や赤い実が、秋の風情を高めていました。歴史と伝統を受け継いだ富貴寺は、やはり人々を惹きつけてやまない趣を、たしかに持っています。(潮 信輔)
- 登録日
- 2013年02月01日
- 更新日
- 2017年07月17日 17時 09分