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冬・積雪期の信州・上田「前山寺」
Zensanji Temple in winter in Ueda city, Shinshu
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信州の前山寺(ぜんさんじ)は長野県上田市にあり、812年に空海上人が開創したと伝えられる歴史深い古刹です。信州の鎌倉と呼ばれる塩田平にあって、東に上田城や千曲川、西に別所温泉が控えています。 冠木門から薬医門につづく真っすぐな長い参道並木を進んで行くと、市の記念物に指定されている、樹齢約700年のケヤキの巨木があります。また赤い頭巾を被ったお地蔵さんたちが、語りかけてくれます。 本堂は間口十間、奥行き八間の木造で、茅葺きの屋根です。素朴な中にも、重厚で、どっしりした感じで迎えてくれました。茅葺き屋根の大きな本・・・、こころが安定してゆく感じでした。 さて、信州の前山寺で有名なのは、国の重要文化財に指定されている柿葺き三重塔。室町時代の初期に造られたと推定されています。初層(初重)の四面には、それぞれ違う如来の額がかかっています。和様と禅宗様の折衷様式で、三間三重で高さは約20m。回廊や高蘭も付いていないことが、かえって美しくすっきりした姿に見せています。そのため「未完成の完成の塔」とも呼ばれ、親しまれています。 この寺は四季の花が咲きほこることが有名ですが、雪に包まれた前山寺も素晴らしい風情があります。白一色の参道、青空にすっくと立つケヤキの大木、雪が積もった赤い帽子のお地蔵さん、本堂の茅葺き屋根から下がる氷柱。そして柿葺きの美しい三重塔の屋根からは、時々、風を受けて雪が舞いあがります。冬晴れの青い空に、小さな白い雲が、鐘楼の上を通り過ぎて行きました。白い静寂の中にも、動きが・・・、鐘の音がそっと聞こえるような気がしました。(潮 信輔)
- 登録日
- 2013年04月09日
- 更新日
- 2023年01月18日 14時 04分