TOP > テーマ別おすすめ画像 > 山中温泉の「あやとり橋」の四季
テーマ別おすすめ画像
山中温泉の「あやとり橋」の四季
Four seasons of Ayatori bridge in Yamanaka hot spring
/
山中温泉は、その名のとおり「山の中」にあって、一帯は鶴仙渓という景勝地です。自然ゆたかな山、谷、川など、山間部が織りなす景色は、素晴らしいものです。松尾芭蕉が「おくのほそ道」の旅でこの地を訪れ、8日にわたる長逗留をしたとのこと。とくに大聖寺川に沿ってのびる鶴仙渓・・・、砂岩の浸食によってできた奇岩が列をなして、淵にただよう樹木、渓流が風情を醸し出します。遊歩道が設けてあり、四季おりおり、自然の散策を楽しむことができます。この渓谷には、「こおろぎ橋」と「あやとり橋」が架かっていて、山中温泉のシンボルになっています。
「あやとり橋」は、ピンク色に塗装された金属製の橋です。左右に湾曲した吊り橋で、急いで渡ると少し揺れますので、ゆっくりと下の渓流やまわりの森を見ながら、そぞろ歩くことが楽しみになります。この橋や周辺は、四季の変化に同化しながら、訪れる人々に異なった風情を見せてくれます。
秋、木々は黄色や紅色の葉を身に着け、時折、谷風に吹かれて落ち葉が、下の白い渓流まで、時間をかけながらも舞い落ちてゆきました。冬、橋の幅いっぱいに白く積もった雪が、道をふさぎます。その上には、小動物の足跡が規則正しく付いていました。橋のたもとでは、人の足跡が、ためらう様に固まっていました。
そして、再び季節は巡っては清々しい緑葉の候、カエデは枝先に黄緑色の葉で覆われ、渓流の音に相和すように揺れていました。変わりゆく季節を友にして、ピンク色の吊り橋は、いつもの姿で人々を迎えます。暖かい色で、希望への橋とも言えます。(潮 信輔)
- 登録日
- 2013年12月17日
- 更新日
- 2016年09月12日 14時 44分