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初夏の富士山麓「忍野八海」
忍野八海(おしのはっかい)は、山梨県の忍野村にある湧泉群です。ただの池ではなく、富士山の雪解け水が地下の溶岩の間で、約20年もの年月をかけてろ過され、伏流水、湧き水として約8か所、地表に出てきたものです。湧水する量は四季をとおして、ほぼ一定。水温は14〜16℃で,冬季も結氷せず、国指定の天然記念物および名水百選に選定されています。今回は初夏に訪れました。
「湧池」は八海にある湧水群のうちで、最も深く、また最大の湧水量を誇っています。主に珪藻土の層でなる水中の洞窟を持ち、何と言っても美しいのは、池の底まで透き通って見えるコバルトブルーに輝く池の色・・・。その中をいろいろな色の淡水魚が、群れては泳ぎ回ります。
「中池」は「湧池」から汲み上げられた人工の池です。広い水面を持ち、空や周辺の景色を映し、傍には軒下にトウモロコシの実を吊るした水車小屋が、リズミカルに心地よい音を響かせます。
また大型の古民家(農家)もあり、湧水を溜めた池にはマスなどが水流に向かって泳ぎ、オシドリの夫婦が羽づくろいし、水車もまわり、懐かしい農機具とともに牧歌的な風情が漂っています。
他の湧水の池も、個性的な姿をしています。民家の庭にあって魚が遊ぶ「御釜池」や「底抜池」、水草を流す「濁池」、黒い土を巻き上げる「銚子池」など・・・。
また忍野富士と呼ばれるように、この地から富士山がよく見えることから、一年を通して、多くの人々が訪れます。そしてつい最近、「富士山−信仰の対象と芸術の源泉」を構成する資産の一部として、世界文化遺産に登録されました。冬の姿も見たいと思いながら、忍野八海を後にしました。(潮 信輔)
- 登録日
- 2013年10月22日
- 更新日
- 2016年09月12日 14時 54分