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秋の東北「銀山温泉」温泉街の朝と夜
銀山温泉は、昔の出羽国、現在は山形県の尾花沢市にある温泉街です。渓流が下る銀山川の両岸に、木造の高層建築である旅館が多く立ち並び、それらは大正から昭和初期にかけてロマン溢れる風情を醸し出しています。訪れる人々に、郷愁を呼び起こします。また、NHKの朝の連続テレビ小説、あの「おしん」の舞台となったことで、全国的に知られるようになりました。近くには峡谷に沿って銀の鉱山跡(銀鉱洞)があり、峡谷には長蛇渓、洗心峡と呼ばれる美しい渓谷が続きます。そして温泉街のそばでは、「籟音の滝」や「白銀の滝」などが、温泉客を四季折々の景観で誘います。
今回、初めて訪れたのは初秋と晩秋・・・。ともに早朝と夜の変化を、比較しながら秋の風情を実感してきました。渓谷の森は緑葉から紅葉へ、風は涼風から寒風へと、秋の季節は月日とともに深化していました。しかし流れる川の音、川べりの足湯やところどころから昇ってゆく湯煙は、変わらずに同じでした。
川に架かる赤い橋は、朝は白い湯煙でほのかに霞み、夜にはガス燈で淡く浮かび上がって・・・、その下を袴姿に着かえた若い女性客が、そぞろ歩きながら通り過ぎて行きました。大正ロマンに触れた思いでした。
ところで、銀山温泉街の情緒を高めているものの1つに、旅館の壁に描かれた多くの鏝絵があります。江戸時代から続く旅館の屋号、旅館主の名前、日本の美が塗り込められた多くの鏝絵たち・・・。朝に確かめた郷愁を引き付けた鏝絵たちは、夜には陰影を重ねて現れ、一層、情緒に奥行きを深めていました。松尾芭蕉も逗留したという銀山温泉は、たしかに歴史とロマンが詰め込まれ、郷愁に満ちた温泉街でした。(潮 信輔)
- 登録日
- 2013年12月14日
- 更新日
- 2016年09月12日 14時 44分