癒し憩い画像データベース/九州がんセンター

　戸隠連峰は信州と越後の境近くを、南西から北東に走る火山性の山地です。この戸隠連峰の中腹に広がる戸隠高原には、湖や池・沼が静かな水を蓄えています。そのひとつが、西山の麓で戸隠連峰を映す「鏡池」です。

　その名の通り水面は鏡の様に静かで、荒々しい戸隠山の勇姿を映し出します。そして森や水辺の植物に囲まれた美しい「鏡池」は、屏風のように鋭い絶壁の岩稜がつづく戸隠山を、水面でやさしく包み込みます。荒々しさと優しさを映し出す鏡池。毎年、鏡池と背景の戸隠連山に四季が訪れ、それらの姿は、厳しさや優しさを伴って、神秘的で美しい風情を見せています。

今回訪れたのは１１月の上旬。荒々しい山肌の戸隠連山、山腹と鏡池の周りは、黄葉に包まれ、枯葉を纏った森の木々はボーッと霞み、秋の風情に満ちていました。とくに文字通り鏡の様な水面の鏡池に映る、戸隠連山の峰々、黄葉の森、秋木立の原生林の影・・・。静寂の池面には、とき折さざ波が流れ、時が経つのを忘れる程でした。天気も曇りから次第に晴れ間となり、秋の陽が黄葉を浮かび上がらせていました。そして池の縁に植わるシラカバの枝先では、青空を白い雲がゆっくりと旅していました。（潮 信輔）