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冬・積雪の肥前「多久聖廟と周辺」
Winter scenery of Takuseibyo (a temple of Confucius) in Hizen (Saga pref.)
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肥前の多久聖廟は、儒教思想の祖である孔子を祀った堂です。1699年から1708年に多久藩主によって建てられ、国内に現存する孔子廟としては、足利学校(栃木県)と閑谷学校(岡山県)についで古いとのこと。古さと規模から、日本三大孔子廟と見なされ, 現在は国指定重要文化財に指定されています。 建築様式は我が国で独自の、禅宗様の仏堂形式も取り入れられています。しかし建物の四隅や欄間には、鳳凰や麒麟、象や龍などの聖獣が彫刻されていて、中国的な雰囲気が漂う廟です。聖廟前の仰高門の脇にも、孔子と関係が深い楷の木が植えられています。
九州の佐賀では珍しい大雪の日、多久聖廟の雪景色はどのようになっているだろうか?。 寒さに打ち勝って、やはり訪れました。聖廟への参道も、その前の石製の仰高門も、周辺の森も数センチ積もった雪で一面の白銀の世界。ただ生け垣の紅色のサザンカが、寒さを一寸忘れさせてくれました。雪を踏みしめながら聖廟の本堂へ、一人の方がお参りしていましたが、その他には鳥や犬猫もいない静寂の中、雪が降っていました。聖廟は中国風の建物ですので、唐破風の屋根組のみならず壁や四隅の柱、欄間、絵彫刻、多彩な聖獣も朱色で・・・、雪の白さの中いっそう映えて見えました。
多久聖廟の周辺を回ると、孔子像、聖廟を創られた多久藩の多久茂文公像も、雪を被って人々を黙って迎え入れてくれました。そして傍にある公園では降る雪の中で、石製の筑紫筝(”筑紫琴”)が、小さな池端にある白梅の木の蕾と花たちが、冬の風流の一端を語っていました。(潮 信輔)
- 登録日
- 2023年02月02日
- 更新日
- 2023年02月02日 14時 34分