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糸島の雷山千如寺「大楓(おおかえで)の四季」
千如寺は福岡県の西南に位置する雷山の中腹にあって、真言宗の寺院です。約1300年の歴史を誇る由緒ある寺院で、山号は雷山。山門、本堂、観音堂や多くのお堂などが建ち、中には国の重要指定文化財である多くの仏像が安置されていて、歴史の重さを語っています。観音堂には、ご本尊の木造千手観音立像が安置されています。
客殿の前にある庭は、美しい砂敷の和庭園で、その中に樹齢が約400年の風格に富む大楓があり、県の指定天然記念物となっています。この樹にも四季が訪れ、各季節を通じて様々な姿を見せてくれます。
夏、大楓の根元の周辺は、びっしりと深緑色の苔で覆われ、そのほぼ中央部は大楓の根で盛りあがっつています。そして濃い褐色の幹から、枝が四方に伸び交わり、深緑の葉が包んでいました。壮麗感に満ちていました。
秋の紅葉期はとりわけ有名です。四方八方に伸びる枝に繁る葉は、黄色から真っ赤に色付き、色のグラデーションが、人々の声を高めます。根元の周りは、紅葉の落葉が絨毯の様に敷き詰め、枯山水の庭に付けられた白い砂紋にも、落葉の紋を創り、名勝の庭園美を華やかにしていました。
冬になると大楓は一変します。葉はすべて落ちて、冬木立へ。しかし葉は無くなっても、かえって重なり合う枝が良く見えるようになり、四方に扇のように広がり・・・。苔庭も色は薄くなっていましたが健在で、時どき淡い木洩れ日に和していました。
そして新緑の春。ふたたび大楓は、黄緑色の若々しい葉でおおわれて、生き生きとしています。また空からは春の陽光が、木洩れ日と陽だまりとなって、降り注ぎます。若葉色のカエデの葉と根元の緑苔が一体化して、春を謳歌している様でした。見る人々の歓声も、聞こえてきました。
雷山千如寺の大楓は、四季の移り変わりを示しながら、観音堂に安置されておられますご本尊の木造千手観音立像と共に、訪れる人々を見守ってくれています。(潮 信輔)
- 登録日
- 2022年10月02日
- 更新日
- 2022年10月02日 14時 16分