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山口・常栄寺「雪舟庭の四季」
山口市にある常栄寺の雪舟庭は、約500年前に山水画で有名な画僧雪舟が作庭したものです。山林による三方の背景、北の枯滝、中央の心字池、立石が豊かな庭石・・・。簡素にして豪放であり常に何かを物語っている名勝です。借景の山と森は、庭の石組みや心字池と相まって、四季それぞれの風情を高めます。本堂から見る景色、山側から見る庭園、周りの森や竹林など、季節の移ろいは心打つものがあります。
夏の雪舟庭は三方の背景の山、森、心字池の間に敷き詰められた芝生も、深い緑色に覆わていました。その中を立石や庭石が映えて見えました。秋、その周りに黄葉が混じり始め、芝生も黄色未を帯びてゆきます。そののち、晩秋から初冬にかけては、庭園の周囲はオレンジ色や赤い紅葉に囲まれ・・・、本堂の縁側に座って眺めると、やや寒さを感じる風が額をなで、竹林の間から真っ赤なカエデの葉が、揺れては静まりを繰り返していました。
冬の雪舟庭は、訪れる人も少ない静寂の世界。常緑樹の森に、枯れた冬木立が所どころに見え、庭園の芝生の葉も枯れて薄い褐色の世界、積雪も散在して、庭園全体が枯山水の景色でした。その中、氷結した水盤には、薄ピンク色のツバキの花が、竹の林床にはマンリョウの赤い実が雪に映えていました。そして訪れた春。背景の山、森、庭園には萌黄色が目立って来、さらに満開のサクラが心地よいそよ風に揺れていました。
常栄寺の雪舟庭は、何度きても、いつも異なった風情で、見る人の心に沁み込みます。今年の10月、17名の同窓生と一緒に山口旅行で、常栄寺を訪れました。卒後48年が経ちました。山口旅行の思い出は、同窓生との絆を強めると共に、生き続けることでしょう。(潮 信輔)
- 登録日
- 2017年10月20日
- 更新日
- 2017年10月23日 12時 41分