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阿蘇・小国「鍋ヶ滝(裏見の滝)の四季」
鍋ヶ滝(なべがたき)は、熊本の阿蘇の小国町にある滝です。 阿蘇のカルデラをつくった約9万年前の巨大噴火で生じたと考えられ、長い年月を経て、現在の落差約10m、幅約20mの滝となっています。幅広い白い滝筋が、まるで白いカーテンを広げたように落ちる美しい滝・・・。そしてこの滝の見どころは、裏側の広い洞窟に入り、裏からも見ることが出来る日本屈指の「裏見の滝」です。
夏、滝の周りや背後の森は深い緑に囲まれています。水の飛沫に濡れた苔に気をつけながら、滝の裏に入ると、ひんやりとした冷気が身体を包みました。洞窟の庇からポタポタと落ちる水滴に、小さな野草の葉が首を傾げ、カーテン状の滝筋と透して見る対側の人々も見えました。
秋の鍋ヶ滝は黄葉と紅葉それに枯葉が入り混じって、空気も少し寒さを感じさせる程です。そして飛沫に濡れた苔むす岩にも、黄葉した細い木が根を下ろし、落葉もかかっていました。
冬、滝に向かう途中の森は、積雪に囲まれて静寂を破るように滝の音が聞こえてきます。横長で約20メートルの白い滝筋が、音を立てながら落ちて行く姿は壮麗的。滝筋の間や滝口には先が鋭利な氷柱が連なり、また滝つぼ近くの岩や草木には、飛沫が凍った丸みを帯びた大小の氷塊が重なっていました。
そして春、鍋ヶ滝への散策路、渓流の森、そして滝口も滝壺の周りも、萌黄色の新緑に包まれます。広い洞窟に入り、滝の裏側から白い滝筋を通してみる新緑は、淡い黄緑色の枝葉が滝の水量で見えたり、隠れたり・・・。また洞窟の天井から垂れ下がる苔類も、新緑色をしていました。
滝の周辺や散策路には四季折々、いろいろな草木が白い滝筋に合わせるかのように、季節の息吹きを伝えてくれます。夏は黄色のキンシバイの花、秋の真っ赤なナンテンの実たち、冬の積雪から顔を出した赤い実、そして春には紫色のスミレが咲いていました。音を立てて流れ落ちる滝、それを引き立てる季節の植物たち、鍋ヶ滝(裏見の滝)の風情を語っています。(潮 信輔)
- 登録日
- 2020年02月27日
- 更新日
- 2020年02月27日 09時 46分