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阿蘇「山吹水源の四季」
「山吹水源」は熊本県の産山にあって、熊本の名水百選に選ばれています。大分県の久住の山々に降った雨が、阿蘇や久住の火山性の噴出物の地層を、時間をかけて浸み込み、湧き水となった水源です。きれいな水が池の底から湧いていて、水温は年間を通して常に約13.5度を保ち、湧水量は毎分30トン。傍には水神様がまつられています。周辺は大木などの原生林に囲まれ、散策路には四季の草花たちが迎えてくれます。
夏、水源の縁は緑の苔が目立ち、泉には清らかな水草が揺れ、周りの木々も緑の葉陰を水面に映していました。そして小砂を巻き上げる湧水の傍を、小さな小魚たちがゆっくりと泳ぎ回って・・・。また散策路も夏緑に覆われ、脇ではキツネノカミソリが橙色の花をつけ、バライチゴの真っ赤な実も見られました。秋の山吹水源は泉の周りや原生林の草木に、黄色や紅色の葉が目立ってきます。その中で湧き水は、相変わらず砂の輪をつくり、やはり小魚もいました。また散策路も秋の静けさで落葉を踏む音が、サクサクと響き、アキノキリンソウは真っ黄色の花序を、マルバノホロシは赤い実を揺らしていました。
山吹水源は標高が約700メートルの高地に位置しているために、冬は厳しい風雪にさらされます。1月中旬に訪れましたら、泉は湧き水であるために、氷結しないで降りしきる雪を水面に受けていました。人も居ない山水画の世界。水源からの渓流の縁は、積雪に覆われ、氷柱も垂れ下がって、小魚たちもどこかに隠れている様でした。そして春、泉には水麺に浮かぶ小さな水草が、絨毯のように集まり、そばを小魚たちが走って・・・。周りも散策路の森も、萌黄色の新緑が目に染みる程で、薄紫色のスミレや真っ赤なヤブツバキの花が映えていました。
「山吹水源」の四季はそれぞれ、移り変わりの美しさを秘め、やはり忘れられない風情に満ちていました。(潮 信輔)
- 登録日
- 2021年12月24日
- 更新日
- 2021年12月25日 13時 39分