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大分・九重「龍門の滝」の四季
「龍門の滝」は大分県玖珠郡九重町にあって、幅が40m、落差も20mの滝です。そして滝はマグマが冷えて生じた、多角形の柱状節理の岩場に囲まれています。この柱状節理の一枚岩を流れ落ちることから、国指定の名勝地となっています。滝は中間に滝壷がある二段落としの滝で、1段目の滝は深い滝壷を造っています。そして滝壺に溜まった水が流れ出す2段目の滝は、柱状節理の岩場を滑らかに流れ下ります。
ところで「龍門の滝」は「竜門寺」の境内にある滝です。この滝は宋より来朝した蘭渓道隆が、中国にある竜門の滝に似ているので「竜門の滝」と名付け、傍に寺を建立したとのことです。その後、兵火などによって伽藍は消失し長らく廃絶していましたが、18世紀の中頃に新たに堂宇が建立され、現在は禅宗の黄檗宗の寺でとのこと。本堂、石仏群、お地蔵さんの小さな祠、鐘楼の傍から、滝が見渡せます。
「龍門の滝」は四季それぞれの風情があります。とくに夏、深い緑の森と滝は夏休みの家族連れで賑わいます。避暑の目的にて訪れた滝の岩場では、子どもたちや若い父親たちが、一枚岩の大きな岩場を元気よく滝を滑り、大声が響きます。寺ではサルスベリがピンク色の花を咲かせ、その滝すべりの光景を見つめているようでした。秋には滝の周りが黄葉や紅葉に囲まれ、寺の境内でも静けさの中で赤いナンテンの実が揺れていました。
季節は過ぎて寒く冷たい冬。滝の岩場では一部が氷結し、森の木々も薄雪で覆われ、まるで山水画を見るようになります。訪れる人々も稀で、静寂そのものでした。そして待ちに待った春の到来・・・。滝の周りは新緑に萌え、滝の前に植わる1本のサクラの木は、全体が淡いピンク色の花びらで飾られていました。寺への参道脇には、黄色いナノハナが咲き乱れていました。
私が訪れた四季の景色は、そのほんの一コマです。一年を通しては、滝も岩場も、森も寺の境内も、それぞれ異なった風情で人々を迎えて呉れるでしょう。(潮 信輔)
- 登録日
- 2021年04月07日
- 更新日
- 2021年04月07日 13時 52分