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秋の愛媛「岩屋寺」
岩屋寺(いわやじ)は、愛媛県久万高原町にある真言宗の寺院です。弘法大師と関係が深く、山号は海岸山(かいがんざん)。本尊は不動明王で四国霊場の第四十五番札所となっています。約4500万年前の奇岩が林立する岩山の中腹にあり、山そのものが本尊となっています。境内は山に向かって、天を突く礫岩の峰に挟まれた山岳霊場で、秋は紅葉の名所としても有名です。
さて山門をくぐって境内に至るまでには、600mもの急こう配の参道を登る必要があります。その途中には多くの石仏が単独で、あるいは階段状に置かれています。
本堂は標高585m付近にあり、巨岩の中腹に埋め込まれるように建っています。荒い岩肌の岩壁が、まるで本堂を守るように・・・、その周辺には、仙人の行場であった洞穴が数ヶ所あります。その一つが穴禅定(お水供養所)。本堂の真下にある約20mの洞窟で、最奥には地蔵尊の石像が祀られていて、その下からは清水が湧いています。
大師堂は本堂のすぐ近くにあり、岩からせり出すように建っています。宝形造、銅板葺で、国の重要文化財にも指定されています。
仁王門は奥の院へとつながる風格ある楼門で、古さと神聖さを感じさせ、不動明王立像が置かれています。
今回訪れたのは晩秋の岩屋寺。山門から境内までの坂の参道を、トボトボと疲れた足を前へ前へと進めました。有り難かったのは参道の傍の植物たちで、白と赤のサザンカ、紅いキクの蕾、ナンテンやフユイチゴの赤い実など、いろいろな秋の花や実が疲れを癒してくれました。そして濡れた苔の石に座った、赤い帽子の小さなお地蔵さんも、何かホッとする気分にさせてくれました。次いで辿り着いた本堂、大師堂や仁王門は、黄葉や紅葉の木々、青空、礫岩の岩壁に護られていました。岩屋寺が静寂に満ちた、山岳の霊場であることを体感しました。(潮 信輔)
- 登録日
- 2019年05月28日
- 更新日
- 2019年05月31日 13時 13分