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春・新緑期の尾道「お寺巡り」
尾道は広島県にあって瀬戸内海に面していることから、平安時代から江戸時代にかけて、対明貿易船や北前船など多くの船舶が寄港して大きな繁栄を遂げた町です。栄枯盛衰がありましたが、富を得た尾道の豪商たちが積極的に、神社仏閣の寄進造営を行なって来ました。そして現在、尾道には多くの寺院が残され、今は瀬戸内海を望む美しい街のために、たびたび映画やドラマの舞台となっています。今回は尾道の「お寺巡り」として、7寺院のうち、3か所のお寺で、春の風情を紹介いたします。
千光寺は標高140mの大宝山の中腹にあって、806年に弘法大師による開基と伝えられている真言宗のお寺です。その後の変遷を経て、建物群や巨石群を有し、多くの人々が訪れています。朱塗りの本堂は1686年に建立された舞台造りで、境内の中央にある巨岩「玉の岩」、龍宮造りの鐘楼などがよく知られています。そして千光寺がある公園には、ロープウェイで昇る行くことが出来ます。展望台からは眼下に尾道の市街地、奥に広がる尾道水道や瀬戸内海を眺めることができ・・・、尾道を代表する風景になっていています。春は”さくらの名所”としても有名。また公園内には「文学のこみち」名付けられた小径があり、山道に沿って点在する自然石には、尾道に関連深い作家による歌碑が刻まれています。
浄土寺は真言宗のお寺で、鎌倉時代末よりおよそ七百年の時代を重ねている尾道を代表する古刹の一つです。境内の壮麗な「本堂」、「多宝塔」、「山門」や「阿弥陀堂など帯は、中世と近世建築がよく残されていて、国指定文化財となっています。本堂前にある「願掛け石(回転石)」を、一生懸命に回す人々が時々、見られます。願いと信仰の証でしょう。
天寧寺は曹洞宗の禅寺で1367年に、豪商の発願と室町幕府の将軍の寄進で創建されたとのことです。本堂がある場所から、少し登ったところに建っている三重塔(以前は五重塔)は、天寧寺のシンボル。そこからは市街地と尾道水道を眺めることができ、尾道の代表的な風景の一つになっています。また唐風の山門や五百羅漢、ボタンの花でも有名です。
古い歴史と海運で栄えてきた尾道。 細い坂道が多い丘の港町で、各所にあるお寺には、それぞれ特長的な風情と情緒がからみあい、いつ来ても忘れがたい街です。(潮 信輔)
- 登録日
- 2021年02月10日
- 更新日
- 2024年10月15日 06時 53分