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信州上田の大法寺と国宝「三重塔」
Daihoji Temple and its three-story pagoda in Ueda city, Shinshu
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大法寺は長野県小県郡青木村にある天台宗の寺院です。山号は一乗山。奈良時代の大宝年間(701〜704年)に、開創された古刹。人口も少なく、田園と森林が広がる山腹で、素朴さがにじみ出たような寺院です。参道に並んで立っているお地蔵さん、無邪気でユーモラスな表情の羅漢さん…。塩田平を見おろす丘に立つこの寺院は、森林と自然に囲まれた高台にあり、周囲とよく調和し、素朴で情緒的な雰囲気が漂っていました。またクルマユリ、ノウゼンカズラ、ハギ、ウツボグサなどの花たちも、旅情を引き立ててくれました。
大法寺の見どころは、何といっても三重塔です。鎌倉幕府の崩壊の年ごろ、1333年に建立され、国宝に指定されています。姿が思わず振り返るほどに、あまりにも美しいことから、「見返りの塔」として有名。高さ約19mで、組物の手先を初層のみ少なくして、初層の平面を広くする独特の工法です。檜皮葺の屋根、高欄のない縁めぐり、美しい軒の反り、美しい相輪と水煙、中央間板唐戸や脇間連子窓など…。
洗練された造営は、年月を経た風格が加わり、見る人々の心を打ちます。落ち着いた気持ちにさせてくれます。工匠たちの意気込みと願いが、ひしひしと伝わってきました。(潮 信輔)
- 登録日
- 2008年10月31日
- 更新日
- 2016年09月26日 12時 25分