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秋の兼六園に隣接した「成巽閣の赤門と庭園」
金沢の兼六園は、水戸の偕楽園、岡山の後楽園と並んで、本三名園の一つとして名高い日本庭園で、国の特別名園に指定されています。この兼六園に隣接して「成巽閣」があり、江戸時代末期の大名屋敷です。しかも奥方が住む優雅さを備えた代表的な建築物として、国の重要文化財に指定されています。
「成巽閣」は江戸末期の1863年に、加賀藩13代藩主の前田斉泰が母・真龍院のために建てた隠居所です。真龍院は京都の関白左大臣の鷹司家の息女で、前田家に輿入れされた方とのこと。兼六園側から向かうと、まず現れるのが風格ある白漆喰と立て板の築地塀。その中央部に、赤門が目につきます。近づくと、そこには前田家の家紋である梅鉢紋が。建物は古風で、1階は書院造り、2階は数奇屋造りで、屋根、柱と壁などが歴史を語っています。
室内は謁見の間など、見事な装飾で眼を楽しませてくれます。それとともに、各部屋に面した庭園は、品格と静寂に満ちていました。それぞれに名前がついていて、特色があります。そして2つの縁庭園は石川県の指定名勝となっています。
「万年青の縁庭園」は、樹木で表現された大きな亀が置かれ、心安らぐ水音が表されているとのこと。雄松、五葉松、キャラボクなどが植えられています。秋の木漏れ日が、真緑の苔や木々の枝先を輝かし、せせらぎの水面も揺れていました。耳を澄ますと、チョロチョロと流れる水音も・・・。静かな風情でした。
「つくしの縁庭園」は、約20mの長い縁には柱が一本もない空間が広がっていて、軒下からの青空も広くみえました。ここでは小鳥の声を愛でるために、水音は消されているとのこと。また細かな枝ぶりの雄松や五葉松、楓、梅などが、安らぎを与えてくれます。苔むした石灯籠や庭石も・・・。そして姿は見えませんでしたが、チッチ、チッチュロと鳴く小鳥たちのさえずりが、響きわたっていました。
10年前に較べて、今回は少し時間に余裕があり、「成巽閣」の縁庭園に忘れ得ぬ面影を見ました。(潮 信輔)
- 登録日
- 2012年09月24日
- 更新日
- 2016年09月30日 10時 25分