医学からみた「癒しと憩い」
生命と生活の質の向上 Quality of life
医療には本来、主な目的として「癒し」が含まれています。“がん”などの病気や怪我の治療はもちろん、心身医療・心療内科の分野がありますように、心や精神のケアも医療の一環です。
患者さんの心・精神や感情によっては、病状が左右されることは珍しくありません。
人は、身体と精神・心のバランスの上で成り立っています。ゆえに身体と精神・心の健康を保ち、活力と喜びに満ちた人生を送るためには、心身のバランスと調和が大切です。
リラックスすること、すなわちリラクゼーションが、自律系神経、ホルモン系、免疫系に働きかけ、ストレスや疲労回復に役立つと考えられています。
その意味からも心、身体の健康で「癒し・憩い」の医学は医療関係者や社会の大きな関心を集めています。
このようなことから、世界中、特に先進国と見なされております欧米の諸国では「癒し(Healing)」が注目されており、“がん”の分野でも研究されています。
たとえば、1991年、米国の公的機関であるNIHも Office
of Alternative and ComplementaryのMedicine(OAC 代替・相補医療研究室)を設けて、国費にて代替・相補医療の研究を行っています。また、米国での国立がんセンターともみなされておりますニューヨークのMemorial
Sloan-Kettering Cancer Centerに「がんと精神」を研究する部門が設けられています。
我が国でも国立がんセンターの研究所に「精神腫瘍部」が設けてあり、ライフスタイルの改善、患者さんのQOL(Quality Of Life = 生命と生活の質)の向上にも取り組んでおります。最近ではがんも生活習慣病の一つとして、ライフスタイルの改善の重要性が提言されており、このようにいろいろな「癒し」は、QOLの視点からも注目を浴びています。
国立がんセンターの内富先生より、掲載の許可をいただきました。
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