TOP > テーマ別おすすめ画像 > ハマゴウ(浜拷)の「蕾から実へ」
テーマ別おすすめ画像
ハマゴウ(浜拷)の「蕾から実へ」
Vitex rotundifolia : from bud to fruit
/
ハマゴウ(浜拷)は東アジアからオーストラリアまで広く分布する常緑の小低木です。わが国では東北地方以南の本州、四国、九州・沖縄の温かくて、日当たりがよい海岸の浜辺に自生しています。草のように見えるが、木に属しています。
茎は海岸で育つに相応しく丈夫で、砂質の地面を這い、砂質の海岸に、群落をつくって生育します。そうです。半ば砂に埋もれても、ところどころ発根しながら、海へ海へと。そして花を咲かせるときは、枝の先端部が立ち上がります。その生命力には感心します。対生する葉は楕円形で、裏面は白い毛で被われています。花期は7月〜9月、夏の太陽の日差しを受けながら、紫色の小さな唇の形をした美しい花を咲かせます。円錐花序で、花冠は1~1.5cm。花言葉は”愛の喜び”など。枝葉や樹皮に芳香があり、古くは香や線香にもとして用いられたとのことで、「浜香」ともよばれていたそうです。なお灰汁は、染料にも使われたようですまた果実は5〜6mm大で、秋から冬にかけては、黒く固くなって、地面に落ち浜辺に帰ってゆきます。この果実は、生薬で鎮痛、鎮静、消炎作用として、漢方薬にも使われたとのことです。
ハマゴウの花も実も、夏の暑さにも負けず、塩分を含んだ強い海風に、いつも揺れながら・・・、砂浜で力強く生育しています。そして夏の白い陽が反射する砂浜で、可憐で淡い青紫色の花を咲かせています。その姿に、いつも励まされます。暑い夏の海岸に来ると、いつもこの花を探しています。(潮 信輔)
- 登録日
- 2012年09月08日
- 更新日
- 2024年10月08日 08時 45分