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秋・紅葉期の越前那谷寺「鐘楼堂と護摩堂」
Belfry Hall and Goma-do Hall of Natadera Temple in autum
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那谷寺は石川県小松市にあって、自然の摂理(自然智)の教えと白山信仰の寺です。717年に泰澄によって開創された古刹で、とくに986年に花山法皇が行幸の際、岩窟で輝く仏像に深く感銘を受けられ、その後、ご自身が居住されながら七堂伽藍を造営されたことで有名。山号は自生山、寺名は岩屋寺と称された勅願寺へ・・・。
那谷寺には江戸初期に造られた鐘楼堂と護摩堂の2つの古いお堂が、参道から少し離れて、森影に隠れるように建っています。共に1649年に建立され、重要文化財に指定されています。
この鐘楼堂は入母屋造りの和様建築で、袴腰の上まで石造り。内には朝鮮より請来した名鐘が吊るしてあります。また護摩堂の壁面は、唐獅子と牡丹の彫刻で有名。内部には平安時代の作、不動明王が安置されています。
前に訪れた緑葉期の素晴らしさが印象的でしたので、秋の紅葉期での姿に接したくて、今回、晩秋に再訪しました。やはり那谷寺は参道も庭園も本堂も、深い秋の黄葉と紅葉に包まれていました。そして鐘楼堂も護摩堂も、晩秋の彩りに囲まれて・・・。近くの石の上に座って、歴史を語る灰白色の重厚な板壁を見入っていると、その傍を、役目を終えて枝先を離れた落ち葉が、何度もゆっくりと通り過ぎて行きました。静寂の中、歴史と時が作り出す自然美と造形美に、あらためて我が国に生まれ育った幸せを感じました。(潮信輔)
- 登録日
- 2013年04月28日
- 更新日
- 2017年10月05日 08時 50分