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約50年に一度咲くと言う 「リュウゼツラン(竜舌蘭)の花の朝と夕」
リュウゼツラン(竜舌蘭)は単子葉植物で、公園や学校などで庭木として、また観葉植物として植えられています。この植物は長い、長い歴史を語っています。生育が遅くて、花を咲かせるまでに数十年(日本では30〜50年に1回)に一度だけ、花を咲かせることから、別名は「センチュリープランツ(世紀の植物)」ともよばれています。漢字表記は先の尖った多肉質の葉っぱが、放射状に広がり、あたかも竜の舌を想像させることから。
この植物の生長、歴史を知ると愛着がわきます。最後の年に劇的に変化します。葉っぱの間から伸びてくる木の幹ほどの太さの茎が直立し、その先端にはたくさんの筒状の花が付きます。しかし花は先端の数個だけが結実し、その後、根元の葉は黄色くなり、株は枯れてしまいます。すなわち花は一生に一度しか咲かなくて、一度の開花でこの株は枯れてしまいます。しかし強い植物です。数十年も栄養をためてきて、花となり青い実となり、そして褐色になった実の中に多くの種子を抱いて大地に戻り、新たな子孫となって生まれてきます。この株より生まれた幼いリュウゼツランは、現在が新病院の花壇で根付いています。
九州がんセンターは今年の春、同じ敷地に建てられた新しい病院に移転しました。このリュウゼツランは、50年以上も前に、旧病院の前庭に植えられていたはずです。毎年、あまり変化を見せないで、人の関心も低いまま、夏の猛暑にも、冬の積雪にも耐えて来ました。そして今年、初めて長い茎を高く伸ばし、黄色の花をたくさん咲かして、実も付けながら青空に映え、人々の眼を惹きつけました。
その姿はこれまでの病院の業績をたたえながら、植物としての役目を終わろうとしているようです。そうです。西側に立派に建った新病院を祝福し、九州がんセンターが新たな夢に向かって、邁進することを願っているに違いありません。(潮 信輔)
- 登録日
- 2016年09月02日
- 更新日
- 2022年09月01日 14時 28分