癒し憩い画像データベース/九州がんセンター

　カキノキは本州から西の地に、広く生育する落葉の高木です。昔より田んぼのあぜ道や農家の庭などに植えられ、日本人の生活とふかく密着してきました。秋の青空を背景にたわわに実る赤い柿、竿を使っての柿ちぎり、家族で夜なべしながらの渋柿の皮むき・・・。柿の実は、懐かしい思い出を誘います。 　よく見ると、カキノキは実の他にも花や葉に風情があります。初夏に咲く黄緑色で壷状の花冠。目立たないのですが、花は４つに分かれ、萼も４枚。やがて雌花は褐色になり、その基部に黄緑色した可愛い実が育ってきます。夏の陽を受けて、大きな広い楕円形の葉は、作った養分を実にそそぎます。それに応えて大きくなった実は黄色になり、秋には真っ赤に・・・。そして美しい紅葉と共に、日本の原風景の一つとなります。 　秋を旅するとき、目はいつしか赤い実をつけたカキノキを追っています。（潮 信輔）