名所旧跡:No.110 観音の滝 (自然味豊かな名所)
唐津市東部にある玉島川。その玉島川は“万葉の歌人”大伴旅人が、その美しい流れに託して恋心を詠んだ川としても知られています。その玉島川の支流・滝川はいたるところで滝や渕を形成し、住む人と訪れる人に安らぎを感じさせてくれます。
今回ご紹介する『観音の滝』は玉島川、仁部川、滝川の合流域から車で約5分程度滝川に沿って登ったところにあります。高さ約30mの見事な段瀑は、激しい水流から「男滝」とも呼ばれ、「日本の滝百選」にも選ばれています。
長い年月を掛けて形成された4つの滝と4つの渕は、“自然の芸術品”そのもので、感動を覚えると共に心が洗われる思いがします。
眼病に御利益がある観音様
滝の近くに「生目観音」があり、ここの淵の水で目を洗うと眼病が治ると伝えられています。その伝説の元とは…
文禄元年(1592)朝鮮出兵のため肥前名護屋に赴いたに豊臣秀吉が、自ら朝鮮へ向う将士の指揮に当たりました。秀吉の名護屋陣中、身の回りの世話をしたのは、名護屋越前守経述の妹(広)でした。広は美人で気立ても優しかったので、秀吉は側室「広沢局」(ひろさわのつぼね)として迎え入れました。
しかし広は文禄3年(1594)に眼病を患ってしまいました。数ヶ月経っても広の目は治る様子もなかったので、七山鳴神山の観音菩薩福聚院に21日間祈願し、眼病平癒の願をかけたところ、快癒したと伝えられています。
以来、福聚院は眼病に御利益がある観音様として、たくさんの人が訪れています。その観音様が「滝の観音」であって、今もその御分霊が「広沢局」にゆかりのある名護屋城山里丸の「広沢寺」に祭られています。
周辺には、北部九州においては規模の大きい樫原湿原があり、湿原植物は約60種が分布しています。
なかには氷河期の残存植物であるミツガシワや九州に分布稀なシズイ、さらに全国でも減少しているサギソウ、ヒメミクリが自生しています。
名 称/観音の滝(かんのんのたき)
所在地/唐津市七山木浦
【日本の滝100選】