名所旧跡:No.117 宮島・厳島神社 (歴史を感じる)
「宮島・厳島神社」の動画
宮城の松島、京都の天橋立とならぶ日本三景のひとつ「安芸の宮島」。太古の時代から島そのものが神として信仰され、島全体が聖地とされていました。
厳島神社創建は推古天皇即位元年(593)。市杵島姫命(いちきしまひめのみこと)、田心姫命(たごりひめのみこと)、湍津姫命(たぎつひめのみこと)の三女神が祀られており、古くから海上安全・商売繁盛の守護神として崇められてきました。
現在のような荘厳な社殿が造営されたのは仁安3年(1168)で、平安時代の貴族の邸宅建築である「寝殿造り」の建築様式を巧みに取り入れ、宮島を深く信仰した平清盛の命で造営されたそうです。
山と海との境界の海中を利用して実現させた点は個性的で、平清盛の卓越した発想は、他に類を見ない変化に富んだ社殿群の構成で、本殿以下37棟、対岸の地御前にある外宮が本殿以下19棟を数え、これらをうまく調和させて一つの美を創造し、全て完成するまでに数年が費やされたそうです。
創建後も平家一門の権勢が増大するに伴い、京都からも皇族・貴族が訪れ、当時の平安文化が積極的に取り入れられました。舞楽が始まったのもこの時代です。平家滅亡後も、源氏一門に厚遇され、安定と隆盛の時代でありました。
鎌倉時代から戦国時代にかけて政情が不安定になると、社殿は徐々に衰退し、荒廃の時代を迎えますが、弘治元年(1555)、毛利元就が厳島の合戦で勝利を収め、社殿を支配下に置き神社を復興させていきました。
度重なる再建にもかかわらず、平安時代創建当時の面影を現在に伝える厳島神社は、平清盛の業績を示す唯一無二の平安時代の代表的な資産の1つで、日本の風土に根ざした宗教である神道の施設であり、仏教との混交と分離の歴史を示す重要な文化遺産です。
「世界遺産」「国宝」「重要文化財」として
厳島神社は建物のすべてが国宝と重要文化財で、「厳島」としては昭和27年(1952)に国の文化財として、特別史跡及び特別名勝に指定され、平成8年(1996)には原爆ドームと共に世界遺産へ登録された日本独自の文化を伝える優れた建築であり、島全体が文化的景観を成している点を高く評価されました。
登録された区域は、社殿を中心とする厳島神社と、全面の海および背後の弥山原始林(天然記念物)の森林を含む区域の431.2ヘクタールです。厳島全島の約14%を占める広い範囲にわたっています。
宮島の原始林は樹齢300年を超えるツガやモミの群落と日本の温帯を代表する照葉樹林を中心に構成されています。また、多様な種を抱える森は実り豊かで、野鳥、シカそしてサルといった野生動物たちが棲む、瀬戸内海に残された最後の楽園です。
海中にそびえ立つ朱の大鳥居も国の重要文化財に指定されており、宮島のシンボル的存在になっています。この大鳥居は高さ約16mで、樹齢400年前後のクスノキの自然樹が使われているそうです。この大鳥居は約100年程度の間隔で建て替えられており、現在のものは8代目で建立から120年を越えているようです。
名 称/宮島・厳島神社(みやじま・いつくしまじんじゃ)
所在地/広島県廿日市市宮島町
世界遺産 登録年/1996年(平成8年)
世界遺産登録種別/文化遺産