癒し憩い画像データベース/九州がんセンター

　　中部山岳国立公園にある立山一帯は、日本でも有数の豪雪地帯として知られています。北アルプスの中にあって、大汝山（標高３，０１５ｍ）を最高峰に、雄山、別山など３，０００ｍ級の山々が連なり、冬は厚い積雪に覆われます。春に黒部立山アルペンルートが開通すると、待ちに待った人々が雪山の景色を求めて訪れます。

　私も開通した日に、積雪が１０数メートルもある「雪の大谷」を歩きました。そして天狗平に宿泊して、雪山の一日を体験。凍てつくような外気を頬に受けながら、夜明け前のあけぼのから日の出、午前から午後、そして日の入りから夕暮れ・・・、これらの美しい景色と自然の雄大さに感動しました。

　夜明け前の空。青白い月の下、薄っすらと青みを帯び始めた空。それに溶け込むような雪原。別山から昇り始めてきた朝日は、次第に周りを白く輝かせ、剣岳の斜面を陽の帯で包みました。そして日中、真っ青で澄み切った快晴の空に、雪山は一層映えて、壮麗そのものでした。

　やがて夕方。夕陽は雲海の中に沈んで行き・・・、あとには茜色の夕映えも紫色になって、夜の帳を下ろしました。不動の立山連峰は、雪に覆われたままで、今日一日が過ぎて行きました。神秘的で、静かな一日でした。（潮 信輔）