癒し憩い画像データベース/九州がんセンター

　吹割渓谷は群馬県の大田にあって、片品川の支流に位置します。東洋のナイアガラと呼ばれる天然記念物「吹割の滝」は、この渓谷にあります。そしてこの滝の周りにある数キロにわたる大絶壁と、凝灰岩や花崗岩からなる河床の清流は、独特の渓谷美をみせ、四季折々の姿で人々を惹きつけます。

　夏の渓谷は周囲が濃い緑色の森でおおわれ、流れもエメラルドグリーンの水面となり、灰白色の岩壁や奇岩群を浮かび上がらせます。薄紫色のガクアジサイが咲いていました。秋になると森は黄葉や紅葉に囲まれ・・・、河の傍にある岩壁には水に濡れた落葉や枯葉が付着したり、留まっては、再び流れに浮かんで流れて行きました。次に訪れた寒い冬、森はほとんど葉を落とした冬木立となり、河床の岩には氷雪が目立ち、山水画の世界へ。積雪の岩からは鋭い氷柱が垂れ下がり、岩間にも枯れ落葉が雪と共に積っていました。人々の姿は疎らでした。ただ「吹割の滝」は滝口を除いて、凍ることなく流れ落ちていました。そして待ちに待った春、渓谷の周りの森は黄緑色を主体に、萌えるような新緑の世界になっていました。萌黄色の森には赤いツツジが咲き、遊歩道のそばには黄色のヤマブキの花が揺れ、訪れた人々の数も増え、声も行き交っていました。

　吹割渓谷は四季それぞれの景観を見せる、自然の創造美に富んだ渓谷です。（潮 信輔）