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ムサシアブミ(武蔵鐙)の四季
Four seasons of Arisaema ringens(Musashiabumi)
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ムサシアブミ(武蔵鐙)は、サトイモ科のテンナンショウ属の多年草です。我が国では、光が差し込む山地の谷沿いや、海岸に近い林床などで自生。通常は1本の花柄で、2本の葉柄に小葉が3つ付いています。花柄が葉柄よりも短いので、花自体が3つの屋根の様な葉で守られている姿をしています。
ムサシアブミの特徴は、大型の仏炎苞(ぶつえんほう)を持つていることにあります。仏炎苞は濃い紫と白の筋模様の花のように見える部分で、実際の花はこの中にあって、よく見えません。植物の名の由来は、丸まった苞(仏炎苞)の形が、武蔵の国でつくられた良質の鐙(馬具)に似ていることから。また葉のでき方にも「3出複葉」との特徴があります。春に第一の葉柄が、地面から立ち上がり、二番目の葉柄が分岐してきます。そしてこの葉柄の上端から、先が細くなった三枚の葉(小葉)を出してきます。花序は白い棒状で、次第にトウモロコシの様に多数の青い実を付け、秋には赤く熟れ、冬には種子となって地面に散らばります。
森や林で陽が差し込む小径を歩いていると、野草の中に、ムサシアブミが自生していないか? と探すことがよくあります。そして周辺にこの植物を見つけて、それぞれの季節に添った姿に出会うと、あらためて人のみならず植物にも、時の流れがあるのだなあ・・・と感じます。(潮 信輔)
- 登録日
- 2024年02月08日
- 更新日
- 2024年02月08日 16時 39分