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ハハコグサ(母子草)の四季
ハハコグサ(母子草)は、春の七草の1つです。越年草で、秋に発芽しロゼット状の葉を広げた状態で冬を越します。そして翌春の4〜6月に、根元から分岐した茎を伸ばし、その先端に粒のような黄色い頭状花序を、たくさん付けます。野原、岸辺や道端などで、よく見かける一般的な花です。
花言葉は「いつも思う」、「無償の愛」、「忘れない」です。母親が子を守り、母と子が寄り添う姿から、付けられた言葉でしょう。
この花を見ると、いつも母とある医師のことを想い出します。それは昭和20年8月15日(終戦の日)、疎開していた村に赤痢(当時は疫痢と言っていました)が蔓延し、当時1歳8か月であった私も、この病気にかかり重症になり、高熱と脱水のため意識もなかったとのことです。皆が諦めていましたが、ただソウケイ先生(医師国家試験の前期試験に合格していたが、正式の医師ではなかったようです)が、避病院(伝染病の隔離病棟)に行けば、何か治療ができるかもしれないと言われたそうです。そこで母は猛暑の中、高熱の私を背負い、夏の暑さに蒸れた田んぼの間の坂道を通って、1km以上も離れた避病院へ連れて行ってくれました。ゆえに終戦の日における母の記憶は、夏の暑さに背負った私の高熱が加わり、とても暑い日だったとのことでした。
母とソウケイ先生のおかげで、幸い私は一命をとりとめました。そして私の小学校時代に、母はこのいきさつを何度も話してくれました。このことが、私が医師になる主な動機になりました。また、昨年になって偶然、このソウケイ先生は、琉球で生まれた惣慶清光先生であることが、ようやく判明しました。なお次の二行は、亡き母が母子草について詠んだ短歌です
・名も知らぬ 流れの岸に
一本(ひともと)の 母子の小草 風になびきて
このテーマ「ハハコグサ(母子草)の四季」を、今は遠くへ旅立った母と惣慶先生に贈ります。ありがとうございました(潮 信輔)
- 登録日
- 2018年01月22日
- 更新日
- 2024年06月26日 08時 43分